2009年09月22日

三省堂国語辞典

以前の記事で『三省堂国語辞典第6版』を気に入ったと書きましたが、ようやくを購入しました。

電子化されているものがあったら、そちらを利用した方が効率がいいのですが、たまには紙の辞書と付き合ってみるのもいいかもしれませんね。私が気に入った「あやまって」という記述を拾い出していこうと考えているのですが、時間がかかりそう……。最初から見ていってやっと見つけたのが「青田刈り」です。『三省堂国語辞典第6版』をそのまま引用すると次のとおりです。

【青田買い】
〔もと農業用語〕有望な人を、前もって確保すること。会社が、卒業前の学生に採用を約束するなど。〔あやまって、青田刈り〕

「青田刈り」という見出しはありませんでした。

しかしながら他の辞書には見出し語として登録されているものがいくつかありますね。

『広辞苑第5版』には次のとおり、誤用とは示していません。
あおた‐がり【青田刈り】(アヲ‥)
@稲をまだ熟さないうちに刈ること。
A「青田買い」2に同じ。

『明鏡国語辞典』は俗語扱いになっています。
あおた‐がい【青田買い】(アヲタガヒ)
@稲の収穫高を見越して、青田のうちに買うこと。⇔青田売り
A企業が翌年卒業見込みの学生の採用を早々と内定すること。◇俗に「青田刈り」とも。

『大辞泉』にはしっかり誤用と記述されていますね。
あおた‐がり〔あをた‐〕【青田刈(り)】
1 稲が未熟なうちに刈り取ること。
2 「青田買い2」の誤用

『大辞林』は『広辞苑』と同様ですね。
あおたがり[あを―] 0 【青田刈(り)】
[1] 実らないうちに稲を刈り取ること。青刈り。
[2] 「青田買い[2] 」に同じ。

『精選版日本語国語大辞典』が唯一事例を挙げていますね。ずいぶん前から使われているようですね。誤用の表記はありません。
あおたがり【青田刈】
@収穫を急ぐあまり、稲をまだ穂の出ないうちに刈り取ること。
A→あおたがい<青田買>
*時間<1969><黒井千次>―○「青田刈りが常識となり、ひやかし半分で受験要領を受け取りにいった会社に」

ところで、「青田刈り」は誤用なんでしょうが、「刈り取る」を「自分の社員として採用する」と連想もできないことはないかな。でもやっぱり卒業する前に「刈って」どうするんだ?学校を中退させて、そのまま入社させるということなら意味拡張としては納得いきそうです。そんな意味では使われることはありませんけど(笑)。

今回は、他の辞書の方の方がおもしろい記述がありました。「敷居が高い」については三省堂国語辞典のみ誤用の意味が書いてあったので、そういう事例を期待しつつ、この辞書を眺めてみようと思います。ちなみに「役不足」の誤用事例はばっちり載っていました。

下記のコラムはまだ読んでいませんが、これから読んでみるつもりです。

「『三省堂国語辞典』のすすめ」アーカイブ

『三省堂国語辞典』のことを書くつもりが、「青田刈り」の意味比較になってしまいました……。


三省堂国語辞典

三省堂国語辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本



タグ:辞書
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2009年09月18日

させていただくのプロトタイプ

最近、私にしては珍しく「させていただく」という表現が気になっていたので、Webで調べてみました。また文化庁の『敬語の指針』が役に立ちました。

「(お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。

この二つ条件を満たしているのが本来の用法というわけですね。非自立動詞の「いただく」が(イ)の意味なので、こちらの意味の方が重要視されるのかなと。(ア)が典型条件で、(イ)は必要条件かな?

恩恵を受けないのに、「いただく」を使う場合があるかなと少し考えてみましたが、うーん、皮肉以外に思いつかないです。やっぱり必要条件かな。その場を丸く収めるために「〜いただく」というのはありますけど……。

典型条件の(ア)ですが、許可を出す人が異なるのは重要なのでは?

 ア-1 相手側の許可を受けて行う
 ア-2 第三者の許可を受けて行う

個人的には、ア-1は納得がいきます。ア-2の「第三者の許可」はちょっとずるいでしょう(笑)。何故かというと、某通販ですが、これは微妙だなと思いました。

ご注文いただいた商品をできるだけ早くお客様にお届けするため、以下の商品を分割して発送させていただきました。

私は分割発送を許可した覚えはありません!別にそのことで怒っているわけではないのですが(笑)。でも利用規約に書いてあるということは私が許可したことになるのか。うーん紛らわしいですね。一見、第三者(企業側)が許可したものかと思いきや、相手(私)が許可していたわけですね(そんな規約は知らなかったのですが)。

私の直感もそんなにずれているものではなく(?)、資料には同様の事例がありました。

A研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは,発表させていただきます。」

発表する許可は第三者からいただいているけど、聞き手が許可したとは限りませんよね。この事例に対して次のように記述してありました。

Aの例も同様だが,ア)の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため,「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようである。

「アの条件がない」とありますが、「第三者の許可」の可能性は?誰かしら許可しているだろうと。学会で誰の許可もなく発表したら追い出されます(たぶん)。

となんか訳のわからないことを考えていましたが、社会言語学は専門でもないし、敬語は苦手なので、このあたりで。

この資料、連休中にもう一度読み直してみよう。敬語を克服したい……。
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2009年09月05日

平成20年度「国語に関する世論調査」の結果について

下記のサイトで文化庁が「国語に関する世論調査」の結果を発表しています。

平成20年度「国語に関する世論調査」の結果について

項目は下記のとおりです。
1.日本語を大切にしているか
2.「美しい日本語」というものがあると思うか
3.人とのコミュニケーション
4.読書について
5.情報の伝達手段と言葉
6.インターネットの言葉
7.情報機器と言葉
8.カタカナ語の認知・意味の理解・使用
9.慣用句の認識と使用
10.言葉の意味

この中で私が関心を持っているのは「言葉の意味」ですね。文化庁が調査した語句は「時を分かたず」「破天荒」「手をこまねく」「御の字」「敷居が高い」の5つですが、この中で私が完全に誤解して覚えていたのが「敷居が高い」という慣用句です。
敷居が高い (例文:あそこは敷居が高い。)
(ア) 相手に不義理などをしてしまい,行きにくい
(イ) 高級過ぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい


てっきり(イ)の意味が正解だと思っていたら、(ア)が正しいとのこと。当たり前じゃないかとも思われるかもしれませんが、(イ)の使い方は他でも聞いたことあるよなーと思いました。それもそのはず、年齢別のグラフを見ると、10代から30代は70%以上が(イ)を選択しているとのこと。表にすると、次のとおり。

年代 (ア) (イ) わからない
10代 16.6% 76.8% 2.8%
20代 13.9% 72.8% 3.2%
30代 20.2% 73.5% 1.0%
40代 35.6% 47.4% 1.6%
50代 58.4% 30.7% 1.1%
60代以上 53.9% 32.2% 2.5%
※10代は16歳から19歳

Webで調べたところ、『三省堂国語辞典』には(イ)の意味が記述されているとのこと。ただし、〔あやまって〕と記載されていますが……。それでも私個人としてはその方針が気に入りました。誤用でも、もう定着しているのでは?「敷居」→「ハードル」という意味拡張(メタファー)は認めたくはないかもしれませんが、これはこれで面白い。

三省堂国語辞典

三省堂国語辞典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本


電子辞書に頼っていましたが、たまには紙の辞書も購入しようと反省いたしました。
タグ:辞書 意味
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