2012年11月04日

照応とC統御

最近、自分が学生時代に勉強したことを活かせる仕事がいくつかあったのですが、あまりうまくいっていない気がします(苦笑)。自分一人でやる分にはさほど問題ないのですが、周りの人(社内・社外問わず)に説得できるような説明を試みたいのですが、テキトーな説明になっているなと感じています。とはいえ、丁寧に説明したら、長すぎてうまく伝わらないこともあります。簡潔に要点を伝えるのは難しいですね……。

今回は人に説明するにはまず基本的なことを復習しておこうと思い、下記の本を読み直してみました。
単語と文の構造 (現代言語学入門 3) [単行本] / 郡司 隆男 (著); 岩波書店 (刊)単語と文の構造 (現代言語学入門 3) [単行本] / 郡司 隆男 (著); 岩波書店 (刊)

はしがきには次のように書いてあるように入門書です。

本書は入門書であるので、扱う現象、紹介する考え方は基本的になものだけに絞っており、あくまでも、「生まれて初めて読む統語論」(my firt syntax)の本という位置付け以上のものではない。


というわけで、自分としてはここに書いてあるようなことを統語論を勉強していない人に説明できるといいなと思い、ネタを仕込んでおこうと目論んでいます。

そのネタは照応の問題です。照応前方照応(anaphor)後方照応(catphor)がありますが、一般的には前者の前方照応のことを指すことが多く、先行詞は前のもの(左側にあるもの)を指すものというのが一般的でしょう。実例を本書から引用しておきます。

(1) a. 健iが自分iの妹が入院したと言った。
b. *自分iの妹が健iが入院したと言った。
――『単語と文の構造』p.29


詳細な説明は省きますが、(1b) は「自分」は先行詞より構造的に上位にないと駄目なので、非文となります(C-統御の違反)。それでは次の文はどうでしょうか。

(2) 健iが書いた自分iの伝記がベストセラーになった。
――『単語と文の構造』p.29

単に先行詞が後に来ているから非文だというのも結果としてはその通りなのですが、この構造をそのままC-統御という概念に当てはめると、これは違反になってしまうのですね。これも詳細は省きますが、「自分の伝記」が「健が書いた」という関係詞節の主名詞であるために、「自分」は関係節の外にあるから、C-統御違反と言えるわけです。もちろんこれは非文ではなく、C-統御条件は移動前の構造にかかる制約という考え方があります(深層構造制約)。「健が自分の伝記を書いた」と考えて、移動をしたと考える(あるいははじめから名詞句が生成されており、関係詞節内部で同じ名詞は削除するという考え方もある)。ミニマリストプログラムではLF再構成(LF reconstruction)という考えがあるのですが、話が長くなるのでここでは触れないでおきます。

というわけで乱暴な議論になりますが、「自分iで荷物を持った花子iは〜」なんて文があった場合、「花子」という先行詞は後ろに来ますが、深層構造制約で説明が付くというわけです(「花子が自分で荷物を持った」という深層構造を考える)。

と書いてみたはいいものの、やっぱりうまく説明できないなー。実際にきちんとしたものを書く場合はもう少し推敲を重ねないといけませんね(本来はもっといろいろな文で経験的事実を検証しないといけないですしね)。とりあえず、今日はここまでにしておきます。照応関係も真面目にやったら面白そうなんですけどね……。
posted by unendedchaos at 13:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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