2011年08月14日

生成文法

お盆休みは読書もやりたいと昨日の日記に書いたとおり、早速読書を行いました。言語習得の本でも……と思ったのですが、その前に「生成文法」を軽く復習した。生成文法に関する本はいくつかあるけど、今回読んだ本は『生成文法 [単行本] / 渡辺 明 (著); 東京大学出版会 (刊)』です。

生成文法 [単行本] / 渡辺 明 (著); 東京大学出版会 (刊)

ページ数も少ないし、読書の対象者が「大学学部レベルの諸学者に理解させることを目標とする。」と書いてあるので、ブランクを埋めるにはちょうどよいかと。内容も統語分析の基礎なので。

一通り読んで、頭の片隅の残っている記憶がよみがえってきた感じです。欲張れば、この本を使って自分で講義ができるくらいに理解し、説明できるとよいのですが、そこまでは今のところ無理です(苦笑)。ですが、大学(大学院)で「言語学やっていました」というと、「言語学ってどんなことしてるの?」と、よく話題になるので、誤解を与えないような説明をしないといけないなーと気をつけたい。適当にこの本を読んで理解してね♪というのもあれだし(笑)。

内容ですが、生成文法は自然科学的なアプローチであることを強調し、分析を行っています(仮説→検証→修正)。特に2.2.1節の「英語疑問文における主語と助動詞の語順転換」が丁寧に書かれていますので、置いてけぼりになることはありません(ただ、なんでこんな間怠っこしい説明をするんだと思う人もいるかもしれませんが……)。また、各章の終わりには文献案内があるので、興味が出てきたら、そちらも読むといいですね。私も時間があったら読みたい(読み直したい)ぐらいです……。

言語学って人文科学じゃないの?文学研究と同じようなものなんでしょ?と訊かれることもあるが、いやいや自然科学なんですよと説明している。今度からもう少し丁寧に説明しようと思いますが、以下の自然科学的なアプローチを参考にしたい。

自然科学的なアプローチとは,データの観察・分析に基づいて仮説を立て,それをさらなるデータの観察分析によって検証・修正していくという手続きをとる.このようにして提出された仮説の総体を理論といい,それは現実に対応してその本質を捉えているモデルとして扱われる.だからこそ、現実世界の一部を形成する形で生じてくるデータの観察・分析が、仮説の検証の意味を持ってくるのである.

生成文法は「反証可能性(Falsifiability)」というのがキーワードになっていますからね。本書は結果を押しつけるだけでなく、仮説を立て検証をしてという形式で書かれています。仮説と検証は学問だけでなく、他にも応用できる(したい)と思います。

ちなみに自然科学的なアプローチといっても様々なものがあります。次のようなことにも触れています。

また,自然科学的なアプローチをとるということは.コンピューターによる言語処理といったような工学的関心とは研究の指向性が異なるということでもある.工学的目標を視野に入れた生成文法モデルの理論モデルというのも確かに存在するのだが,本道からは少しずれていると言わざるをえない.入門レベルでは考える必要のないことがらである.


確かに。工学的な言語学(計算言語学)は違うような気がしますね。ちなみに工学的な言語学アプローチにはHPSGLFGがありますね。あと、最近知ったのですが、CCGですね。CCGについては全くの不案内なので、そのうち勉強したいな(「CCG による日本語文法記述の進捗と展望」(PDF))

あと、ちょっとドキッとしたことも……。

説明できないデータが存在するということは,仮説を捨て去る理由には必ずしもならないのである.よりよいアイデアが登場してはじめて,古い仮説は捨て去られる.この点を理解していない言語研究者はかなり多い.自然科学研究のセンスを持ち合わせていないからだが,こうした輩は要注意である.


ほんと、注意しないといけませんね。著者によると、「優れた仮説を出す重要性がわかっていない」との注がありましたが、できるところまでやってみるという姿勢は重要です(あえて一部のデータには触れないという考え方)。その説明できないデータを説明できる仮説を誰かが立てればいい(他力本願という意味ではありません)。焦ってはいけないですね。

まとめに入ると、知的好奇心がそそられる本だと思います。この本がというより、生成文法がといった方が適切なのかもしれませんが……。
タグ:言語学
posted by unendedchaos at 09:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 言語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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