2012年07月16日

取り立て助詞と機械翻訳

ひょんなことから取り立て助詞について調べてみました。その備忘録です。今回取り上げるのは日本語の取り立て助詞だけ」と英語の副詞“only”を使った文です。まず最初に“only”の語法から確認します。

only は通例修飾する語・句・節の直前か, 時に直後に置く
――『ジーニアス英和大辞典』

「直前」か「直後」ですと、曖昧ですね。曖昧なものは仕方ない……。同様に辞書の事例を挙げてみます。

(1) 彼だけが昨日その問題を解いた。
(1a) Only he solved the problem yesterday.
(1b) He only solved the problem yesterday.

「彼だけ」なので、“He”の直前(1a)か直後(1b)ですね。

(2) 彼は昨日はその問題だけしか解いていない。
(2a) He solved only the problem yesterday.
(2b) He solved the problem only yesterday.

「その問題だけ(しか)」なので、“the problem ”の直前(2a)か直後(2b)ですね。“the”と“problem”の間にあると、“only”は形容詞になってしまって、意味が変わってしまうのは説明するまでもありません。

(3) 彼は昨日その問題を解いただけだ。
(3a)He only solved the problem yesterday.

「解いただけ」だから、“solved”の直前と直後かと思ったら、辞書には直前の事例(3a)しかありませんでした。動詞を修飾する場合は、直後は駄目だったか?これは調べないとわからないんで、今回は保留にしておきます(泣)。

(4) 彼はつい昨日その問題を解いた.
(4a) He solved the problem only yesterday.
(4b) He solved the problem yesterday only.
取り立て助詞ではないのですが、辞書にあったので取り上げてみた。“yesterday”の前後ということでいいでしょう。

上記の事例をみると、意味が曖昧なことがわかりますね。(1b)と(3a)が同じ英文です(onlyの位置が同じ)。(2b)と(4a)も同じ英文です。文脈がないとわからない曖昧な文だと言えます。ただ、辞書には「時に直後に置く」とありますので、典型的にはすべて(a)と言えそうですね。自分が英文を書く際には(a)のように修飾したいものの「直前」にしておこう。

現時点(2012年7月16日現在)での機械翻訳ではどうなるのか試してみました。試した翻訳サイトは以下のとおりです(リンク先はWikipedia)。

Google翻訳
Bing Translator
Yahoo!翻訳(クロスランゲージ社の翻訳エンジンを採用)
エキサイト翻訳(英語は東芝ソリューション社のThe翻訳エンタープライズを採用)
OCN翻訳(高電社の翻訳エンジンを採用)

それでは、同じように和英翻訳をしてみましょう。

(1) 彼だけが昨日その問題を解いた。
(1a)He was only solved the problem yesterday.
(1b)He just solved the problem yesterday.
(1c)Only he solved the problem yesterday.
(1d)Only he solved the problem yesterday.
(1e)Only he solved the problem yesterday.

Google翻訳はまだ文法的に誤りがある翻訳をしていますね。“solve”は第4文型をとらないので受け身にしてなおかつ目的語があるのはおかしいと言えますね。

(2) 彼は昨日はその問題だけしか解いていない。
(1a)Yesterday he has not only solved that problem.
(1b)He not solving the problem only yesterday.
(1c)He solves only the problem yesterday.
(1d)He is solving only the problem yesterday.
(1e)He solved only the problem yesterday.

だけしか〜ない」という難しそうな感じですが、Yahoo!翻訳とOCN翻訳はやりますね!

(3) 彼は昨日その問題を解いただけだ。
(1a)He is only solved the problem yesterday.
(1b)He's solved the problem yesterday.
(1c)He only solved the problem yesterday.
(1d)He only solved the problem yesterday.
(1e)He just solved the problem yesterday.

Yahoo!翻訳とExite翻訳は全く同じで正解で、OCN翻訳は“only”ではないけど、同じですね。Bing Translatorは“has solved”ということで「だけだ」のニュアンスがなくなってしまいました。

(4) 彼はつい昨日その問題を解いた.
(1a)He solved the problem yesterday.
(1b)He solved the problem just yesterday.
(1c)He solved the problem just yesterday.
(1d)He solved the problem just yesterday.
(1e)He only solved the problem yesterday.

Bing TranslatorとYahoo!翻訳とExite翻訳が同じ結果になりました(onlyではなく、justですが、justにしたくなりますね)。OCNは“only”を用いていますが、ジーニアスの定義に従うと、この位置だと意味が変わってしまいますね。Google翻訳は「つい」のニュアンスがなくなっています。

この結果について分析してみるのは楽しそうですが、専門外の自分にはできないと思うので(泣)、今日はここまで。機械翻訳については、言語学観点からの研究がなされているかもしれませんが……。今回の結果を見る限り、Yahoo!翻訳が一歩リードのようですね。

取り立て助詞は学生時代に統語論の授業で学んだ経験はありますが、分析はしていないので何か本でも読もうかな。統語論だったし、よく覚えていない……。



posted by unendedchaos at 21:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 言語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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